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詩誌AVENUE【アヴェニュー】~大通りを歩こう~

詩誌AVENUE【アヴェニュー】~大通りを歩こう~

オリジナル意訳2

ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ

 Johann Wolfgang von Goethe


  1749年8月28日~1832年3月22日。ドイツの詩人、劇作家、小説家、自然
  科学者、政治家、法律家。ドイツを代表する文豪であり、小説『若きウェル
  テルの悩み』『ヴィルヘルム・マイスターの修行時代』、叙事詩『ヘルマ
  ンとドロテーア』、詩劇『ファウスト』など広い分野で重要な作品を残した。



    魔王
     Erlkönig.


ふはは、招かれざる客は笑う

子を持つ父なら二足歩行の自由

彼の腕の中には頭部のCT撮影

彼は不等辺三角形、すべてを


 眼底に刻みつけておきたい風――


どうして魔王、旧約の詩人に火照る炉

ああ、あなたは魔王、誰が猿のように醜い?

抱きかかえる腕も萎える

おお、あなたは魔王!


 枯れつくしたエルフの王冠、アルペジオの誘惑

  それは霧、虔ましやかな白い灰・・



さあお前の子を貰う、

さあ、神の両眼に浮かぶがいい!

爬虫類から始祖鳥の夢、

あなたがノアならわたしはマリア、


 さあおいで、花は彼岸のオリーブの枝、

  ・・まあなんて恐ろしいこと!


、、、、、
さあおいで、天にまします我等の父よ!
     、、、、、 、、、、、
ふはは、お前の父は、お前の父も、

お前を救うことはできない

ああ、約束を守れ、地雷を踏むな、


 大洪水の中をお前は飛び降りたいか・・?

  父、舌の涙を飛び下りる!



   「待ってくれ!」

  ・・・朝霧のかなたが来れば

      ・・・おお朝が来さえすれば

   「待たない!」

  乾燥した葉は鞭のようにざわめく。

      ・・・じっと見送るのか 

         ・・・おおまんじりともせず

、、、、、、、、、、
独裁者は刻一刻と迫る、不吉な鐘は鳴る!

なお!おい・・お前はわたしと一緒にいてくれるだろう!

そうだ娘を放て、魔王お前に幼女の趣味はないか!

隣の家の娘なら、毎晩白鳥の泉を踊れる!


  しかし飛び込み板の絵では、

   おお!・・ぷいと横を向いたそのポーズだけでは――



あなたは私の父、鼻先をくっつけんばかりの父
 
・・・しかしあなたはいない、

 あなたのいないくらい底、マンホールの蓋

・・・おお!魔王おまえはどれだけ人を攫うのだ!

おお!涙で濁る私の息子、涙でかき曇る私の息子!

 ・・・おお!魔王!


  古い柳の灰色、自動ドア、記念写真のカメラ――


私はあなたを愛してる、・・おお息子!

つつやかな毛並みの黒猫、ぷくうとした肉球!

私はお前でなければ嫌なのだ!

お前は何処へ行く私をおいて!


 おお!神よ・・無表情な木彫り、お前は石畳を疾らぬ!

  おお・・父は、父は、わたしを抱きしめて離さない!
 
   魔王よ、誰がこの子を傷つけられる!



父戦慄のうちに、わめき声があがる

彼は乗ってゆく、さまざまな人の失われた問いを

うつして――おお!・・迷路があらわれるぞ、おお呻く、

迷妄の嵐というラピュトリンスのなか・・


  一散に駆けてゆく、おお!落城の時――

   腕の中で、私の子はもう死んでいる!



    花うるわしく
     Das Blümlein Wunderschön.

 
         ・・「わたしはその歌をきちんと見つけましたよ」


       グラーフ


  僕はこよなしくいとしむ花を知っている・・

と、彼方此方へ、見知らぬ力に充たされ・・

月を悟った、光褪せて行くほうき星さながら、

痛みは、・・しなやかな糸が切れるよう。

ああやわらかなかがよいにレースのテーブルクロスあれば、

かつての僕よ、久しくも忘れいし、かすか な、

 かすか に ブランコ
、、、、、、、、、、
城紅く錆びた釣瓶には、眼だけが彷徨う――


  空に牙を刺していた塔のあの地下・・猛禽の呻き声、

瞳孔をとられた、騎士・・(沈黙から、絶叫する――影、)

誰だろう、・・空しい返事、松葉杖も、雨も、うわごと・・

さながら使用人の心臓のよう。息絶えんフルートのよ う・・

夕暮れのはずれの森を追えば、

  どれほど お願いしようとも、

団栗がいまは黒い実に思える よ・・

  どれほど 祈りせがもうとも

    ――あなたは、わたしの夫・・


       ローズ・・庭の若枝の鏡・・

  、、、、
  わたしは、神殿の玉垣に囲われて、これを聞く。

搾りとる、夜・・稲妻も、ヴァイオリンの弓も・・
         まぐわい ほぎうた
葉なみふるえる婚礼の祝歌、もちろん、ローズ・・

あなたは貧しい貴族騎士、・・たよりなげに夢遊の足、

でもあなたも押し黙ったままのものを貫いて――
アマランス
女王の花、水中で花と唖とでひらくそれ自身、

けれど、わたしも盲目のてのひらの指輪・・

 いぎたないまどろみ、間近に迫る鳥たちの声・・


       愛しい グラーフへ

  、、、、、
  あなたの菫、心の真夜中と半身のもの・・

足取りおぼつかなくなる翡翠をあしらったドレスで、

 水はさやぎ、灯は吹き消そうにも、掴まえられない類のもの、

  ときめき、問い掛ける風のまにまに、


あなたは一時間、二時間と願望・・星の光のみゆるとき、

いつでも宝石箱のように僕!(君はある、)を見る・・

でもそのリングは同時にきらめくサーベルのもの、

 手の先に催眠術、エメラルドのひと雫!

だからあなたは花じゃない・・それでも、かくは清らなれ、

僕は梟の暖かな風と時と苔ばかり――かくは・・。


       かぐわしいユリ・・

  
  バラはまったくドイツの言葉のようだ、

と、罪犯し徒か、気まぐれか・・アネモネの瞳!

それでも言葉は、真の愛――。

賛美すればシンチウム! (ユリの装飾、治癒するリボン、)

心臓はものやわらかな靄で想いのままもてあそぶ、

そしての純粋な、あなたへの、認識に

野苺がとれる、歌は・・病めるごとく鮮やか!

        のどふた さぎり
       喉塞ぐ、狭霧のグラーフへ


    ・・「わたしはその歌をきちんと見つけましたよ」

    ・・・そうだろうか?(そうよ、)――そうだろうか?

  それが混沌で、無限で・・純潔な泉をかき起こせば、

いずれ不在なる純粋な悪へ、想念を散らす。
 さむさ くるしみ くらやみ
 寒冷、苦痛、暗黒――。

「・・が、僕はここにいる、捕まえてほしい・・酔わせる匂い!

さもなければ一人で二つの幻に掛け布する・・」

 ・・「わたしはその歌をきちんと見つけましたよ」

でもおお!何と僕をみじめにむごたらしくする美しい絵・・

処 女、頬のばら、悩める魂を癒すさざなみに、

いましも浮かぶ、口付けを、知っている――。


       カーネーション、記念日の花・・


  何が無傷で、何が運命か、ああピンクの幼な兒、

 (もはや、こうした言葉は燧石から火を出すようなありさま・・)

ここは箱庭、至福に包まれ、泥が押し寄せ、

かくのごとく老人となり、――愛し、苦しみぬいた果てに、

あなたは睫毛の影に失せた魔法を追う!・・家に持ち帰ろう・・、

愛は熱情の深みに感得し、この庭はまるく、語られざる、
    
この庭、生命の香り、・・鳥の巣の茂みに卵あるほどに、

おおよそ一千色のととのった音楽――。


       グラーフへ


  皺ばんで手袋のようになった手に、あたしの魂は見初める、

庭師になれたなら、無名の愛すべき詩人として・・

薔薇のために、ぴくりともしない気慰みを熾す、

やがて彼は太陽から汚れた血を隠す、鳥なら鴉、鵲、

啄んでは引き抜く・・、いつわりの甘言と!愛想と!

それでは、神の裁きもある、――恋人よ、摘んで!摘んで!・・

早く起きて! 沈黙を選ぶ前に!――。


       冷たくなったり、熱くなったりするスミレへ

                 スタンド
  あやつられて紛れ込んでいる卓上電気・・葡萄の丘、金色の麦畑、

と、話をするように・・手を振り上げ、ピストルを握る手――

が、僕の口を封じ、――流言に。中傷に。「ああ、骨もなき亡霊に」

「・・でもわたしは、あなたがいい」(と思う、)

僕は、そこに内なる感情の静かな炎のふきあげ、情愛の、気ままさ、

 恋するよりも前に、狂おしく舌が物を言わないサインを紡ぐ・・

痛みを伴うこともなく、棘もない・・


       グラーフ


  ああ!どこへ、なぜ、どこから菫・・

異国の土、箱状の区切りのうちにささやかな、わたし・・

 「あなたが菫なら、あなたは夜啼鶯・・」

でもこの庭には、よく透る子供の笑い声のようなとてもいい匂い、
、、、、、、
必要ですよね、狡猾な鎖をはねのけるには・・、

痛みに青ざめる両手から、こもれる、声・・朽ちぬ誉れを讃えざる、

あなただけに・・告白、告白!・・心の中の激しい戦い・・、

でも薔薇はほの暗い心――。

  、、、
  そして、小川はくもりを帯びてなお白い、・・この家の戸口は、

この世界で最も忠実な女性の修道院――白い、裸足のような、愛。

そして、いくつかの、ため息、・・いくつかの、ため息・・・

 (歌をうたいたい 踊りをおどりたい)

換金と・・緊張と情熱をこめて、「あなたは誰?」・・やはりため息・・・

 (歌をうたいたい ピヨピヨ・・ピヨ・・・)

とてもとても小さな青い花・・雲は雲、空は空、

 人間だけが裸になれないような気持ちにもなるのよ――。

「壊れないで――わたしを忘れないで!

  それはわすれな草の咲いたどんよりした曇りの日のように」


――はい、この距離こそが、窓と窓、イメージとイメージ、

ドアの向こう、・・正直にお互いを愛したなら、天使は、
、、、、
僕はまた、天国が迷路に思えた夜を真紅に変えてこぼれいづる・・

また、生きている・・フローラル系のかおりの記憶、薔薇の、

そして、僕はほとんど石と化した、(野生の源泉、)

あまりにも優しかったので、あなたが僕を呼ぶので、

捜し物の熱っぽいはばたきが瞬きに変わるので――。



  


ライナー・マリア・リルケ

Rainer Maria Rilke


  1875年12月4日~1926年12月29日。オーストリアの詩人、作家。晩年の大作『ドゥイノの
  悲歌』『オルフォイスへのソネット』は有名。『マルテの手記』は少し病んでいるのが僕の
  印象。ウィキペディア情報。日本においてリルケはまず森鴎外によって断片的に訳され
  たのち茅野蕭々『リルケ詩抄』(1927年)によって本格的に紹介され、とりわけ堀辰雄、
  立原道造、伊藤静雄ら「四季」派の詩人に影響を与えた。

  

    夏の夜
     Sommerabend


                      ち  し
 しなやかにざわめいている音色は、散り布かれ、
 
 声から声を伝って、夏の夜は飛び交う・・。

 荒々しく崇めるために、人間の血が頬に透明なのだろう――。
    
 ジャックは・・彼はため息を吐いた。「僕はむしろ自分がわからない・・・」

 そして直ぐに、――「でも・・くたびれていた・・」


 多年生の茂み・・藪を形成する厚さが嫌になるほど・・

  祈る。――流体によって加えられる圧力・・
 、、、、、、
 光り匂う蛍が、象牙から濃くあらわれてとどまる、

 たとえば、鳥の音の秘密に・・永遠に・・・

 と、そこに小さくて白い薔薇が見え、
 、、、、、
 なんて赤い、性うたがわしい太陽だろう――。






シャルル-ピエール・ボードレール

Charles-Pierre Baudelaire


   1821年4月9日~1867年8月31日。フランスの批評家、詩人。死後も、世界的にもっとも影響
  力のある詩人の一人。近代詩の父。『悪の華』は世界で最も有名な詩集の一つ。



    
     DAS HAAR

     うすぎぬ
おお絿れし薄紗は和解し難い、濤は陽遊のように肩を露わにした髪よ!
                   けだるさ
恋慕の情を駆り立てる巻き髪よ! 懶惰を離れて、・・音色を映す薫りよ!

不朽の輪郭よ! 終に無に帰する今日の憶い出のため・・・!

いまもどうしろ!と・・ああ恥知らずな魅力・・操を売る――徒花の風情・・!
、、、、、、、
手巾は煽られた、弦楽的に夢中で風が接吻、うるおされる仕組み・・!


おお怠く懶いアジア! 燃ゆるアフリカ・・完全な粘性に、何のわけやら!

夢中だ!――世界全土に及ぶ、森林・・汲みつくし難い甘美な心地に・・!

大気取りで芳香は美の奥処に! ・・幻は勇敢にも営為を謳歌し、

エキゾチックな音楽が知覚を失った神の洪水を放つ時・・君は、薫る・・
、、、、 、、、
たゆたう、その髪・・泥土に似た灰色の感じで、水平線を舐めずり廻す――!


眼にこもごもと喘いでいる蒼穹に君臨し、深い淵から飛翔する・・!

これは樹!これは花!これは空(の、)・・宝石のように――模様や色を縫い、

眩暈!・・かき乱れる千々の胸を熱帯の酒によって充たし・・内省の富とし・・・

ゆけよ黒檀の・・まばゆい港――甘美な心地よ! 祈りが細く開いた手に、

漕ぎ手と軽艇と桅檣の夢!・・絢爛たる背徳とけがれに!


移り変わる私の心は、なみなみと。・・厚かましいほどの神経にうごめき果て・・・!

色調は感激の一瞬!・・色と香りの愛人! 貪りて飲む・・午後の光消えようとする!

ああ血管が金や絹を忘れてそよぎ、滑る、天使の頬へちかづける巨き船――!

宝石は見えない傷のように爛れる前の、樹・・この石炭・・ああ数おおくのところへ、

さあ永遠の王位!・・水面に、たちまち天上の存在!・・共犯者の過ぎ去れり!


私は高速度撮影で・・酩酊・・顫えながら抱く・・寂寥と暗澹たる心地を皺に刻む・・
                                いらくさ
この無限の香爐、・・泡立ち、啜り哭く酔いに誘われ!・・蕁麻疹は・・

蕁麻疹――たゆみなく心の波の遊戯を聖母頤の・・沈む島させ!・・・弥栄に愛撫――!
                         みなわ
シーツを口に埋めるように。・・不易の風味で、泡沫に祝福された、酔い癡れ・・
、、、、、、、
あなたはミルク・・そそげば蕩揺! はてしなく反芻する・・白痴!


その葉をふるわせて彼女の青い髪は・・その星の糸で、・・巨大な地図をえがいて、

瑠璃色の愛慾!・・紺碧のあなたと壁を果実の酸味の塗料する、かぼそい網を――、

有刺鉄線、もはや綿毛のように鈍い――吸盤のある、海洋浮遊物・・・!

お互いに配偶者になったね、ええ、・・いつまでも漂流してはいられないね!
           タール
椰子の油と麝香と瀝青――膿が揺れる、アルコールは潮騒の真っただ中!


そしてあなたの重い、・・絶え間なくある、おののくばかり紫に凝る髪・・
        エメラルド
ビーズの指は・・緑宝玉とルビイのうえに歌う!・・鏤められた幼い林の午下りに!

欲望は無駄に繊細で・・やはり果てしなく贋物で!・・箱庭へと耳籍さぬ振舞い――

ああオアシス! 魂の賛美が笑う、・・遠く離れてしまえば、泳ぐことは出来ない!

だからいまでも私は欲張って葡萄酒を飲み過ぎてしまう、・・朝方まで、髪を・・






フランシス・ベーコン

Francis Bacon


  1561年1月22日~1626年4月9日。イングランド近世(ルネサンス期)のキリスト教神学者、
  哲学者、法律家である。ウィリアム・シェイクスピアと同時代人であり、シェイクスピアは
  ベーコンのペンネームだという説を唱える者もいる。



 世界
  Le Monde



    世界は派手にブクブク泡立ちはじめた空気の泡

    男はきっと――FLASH 地雷に雷管を付けて・・

 青空を遮って北を掩う墓で『彼』は・・彼女・・母の胸から紅味に富んだ井守
 
   彼・・それは『彼』の罪――自分で自分を嘲るようなこともしばしば!


 男らしさ!女らしさ!・・揺籃で嫁にも婿にもゆかれない!

      ・・なのに彼はおっ母さんに詫び!

 俯向いたり、オロオロしたり、何の咎もないのに、コソコソ続きます――
                                          
 まるで日ごとに、癖や、喋り方など覚え、ついでに花を剪って仏壇へ捧げて!

  
    粉塵の試み、・・いったぜんたいどうすれば快適な生活を送れるんでしょう?

    よんどころなく物を言うても、肩は凝りまんがな!

 えーと法廷・・ホウテイ・・・でもそれは学校です、社会の中においても!

  えーと国に?・・ああ!国ですか――でもそれは絶滅したニホンオオカミです!

       えーと都市・・トシ・・・ECHO――EXCUSE・・

 家庭内が安全ではないのに彼や彼女たちは、歩きまわる・・

 厚顔無恥の極みです!羞かしくなる、極りが悪くなる、田舎派。・・


    粉塵の試み!・・ああ家庭の男なんていうのはですね、新聞、風呂、飯・・!

    それで十分だと思ってるけど、息子に一人暮らしさせなきゃマザコン!
 
 GREAT!・・もっとサバイバル・・いいかいターザンボーイにならなくちゃ!

  結婚するのが一人前!・・女性を持つなら青二才でもイッチョマエ!

       でも少なくとも女性たちはずっと・・男の犠牲・・・!

 フェミニストじゃないよ!馬鹿は馬鹿!・・間に合わせ、セ フレ!

 ああもっともっと可哀想なのは、変な生まれ方をした子供!

  ・・「子はかすがいだって石版に書かれてあるよ」と小さな子供は言った


    馬鹿馬鹿!生きる欲望のためにうまれた挙げ句の奴隷、いわば潮干狩り要員!
    、、、、、、、、
    しかもその理由が・・無果木の腰覆いの向こうにある本能に操作されてさ!

 喜びはすぐ乾く干し草! 股引に麦わら帽に、鎌を持つ・・愛の草なら、
  
  どうして子供を戦争へやるの、・・調理する材料は別にあります!

 ああそれを惨めだと『オンギャア!』・・叫ばずにいる赤子のかわりに

       いま、僕たちに出来ることってなんでしょうね!

 意識感知、・・自己課題的な謎、――ほらまた男性用衣料品オムツ!
 、、、、、、、、
 ああわからぬまま、またすぐに生まれている『フギャア!』






 鴨長明

  かも の ちょうめい


  賀茂御祖神社の神事を統率する鴨長継の次男として京都で生まれた。平安時代末期から鎌倉
  時代にかけての日本の歌人・随筆家。



    方丈記(冒頭)


 この流れは尽きることがなく、そのうえ、元々の水とまったく同じではない。あの澱みに

浮かぶ泡でさえ、一瞬のうちに消えては結ぶ。あらゆるものが滅びる・・たとえば隣り町の家

なんかが、消えるようなものですよ。そうですよ、人もね。ビルディングなんかがぽつぽつ

出来あがる。すると、屋上だの、うちは地下にプールだのとやり始めるものです。高さに、

おお人の卑しさ。矛盾すれども人にたずねたら、笑われるでしょう。新しいものばかりがあ

って、時が経つと、その当時価値のあったものは滅んでしまう。まあ稀ですね。ある人の家

は煙草による失火であたらしく家を建ててます。ある人は大豪邸をつくって酒池肉林だのと

調子ブッこいてたんだけど、人気が落ちて、落ち目に憂き目、泣きっ面に蜂。あっという間

に小さな家で、質素な生活をしてますよ。住んでる人も大体おんなじですね。あっという間

に引っ越し。区画整理。そりゃあ、昔ながらの感じでレトロっていうんですか。レトロって

いうんすか。ああいう貧乏くさい感じで、たくわん食べてるけど、まあこれも二、三十人、

に一人か二人。まあまあ、いろいろめちゃくちゃなことを言ってるけど、結局朝に「あ、こ

いつ元気だったのになあ・・ポチ!」と思ってたら、その夕方に、ポチが復活してる。ミイラ

・ポチといってたら、入院してたんだって。そうか、悪かったな、・・でもまあ入院でよかっ

たよ人なら正月前に殺すから。まあ水の泡、ああ人生なんて一巻の終わり、医学の進歩なん

て嘘って感じかな。こわいよね、マジで。でもわからないよね、わからないさ・・どうして生

まれたのかもわからないし、そもそもどこから、・・・でも死ぬってことは真理。けど、いった

い俺は何処からきたの、そしていったい何処へ吸い込まれるのの、魂。まるでヤドカリだな

、何のために額に汗し、嫌なことばっかりして、それでも目の前にある音楽や映画や漫画な

んかを選ぶんだろう。そしおてそれに喜ぶんだろう。俺は考える、真面目に――もしかした

たら家と主人がうかがいしれない糸で結びあっていて、切れる。滅ぶ。いわば、朝顔とその

露みたいなもんさ。ある時は、露が落ちて花だけがちゃんと残ってる、夏休み。でも次の日

、ああ低学年の馬鹿ども虫取りに夢中で水やらなかったな。なんたってこの異常気象、そり

ゃあ枯れるか。まあ、萎むのが寿命って場合もあって、露だけが涙みたいに、心の奥処に残

っていたりする。でも消えなくたって夕方まで、待つことはない――通り雨がまたあの川に

加わる、何処までも終わることが、・・ない――。






 高 啓

  こう けい


  1336年~1374年。中国・明代初期の詩人。字は季廸、号は青邱。江蘇省蘇州の出身。
「呉中四傑」の一人。娘が一人いる。幼少より神童とうたわれ、書は読まざるなしといわれ
たほどの博学で知られた。王行、徐賁ら北郭十友と交わって早熟の詩才を誇り、また、史書
を好んだ。



    題雲林小景


 帰る人は、何のあてもなしにこの川を渡る

 からつぽな林を見る度、悲しゐ疎林を憶ふ

  誰かが棲んでいたやうでもあつたが、

  蹴つては轉がした石ころのやうに追つて

 とつさに、さうですか!と――

  そこに見ゑた幻の家が煙に掩ひつゝまれ
  、、、、、、
  あるがまゝだ!・・あるがまゝ・・・
    
 独り恁うして卑屈な意識を前面に露呈させ、邪魔だ!・・

  と 立ってをれば・・秋の山の紅葉も望める、郭公や杜鵑!

   ――いつたゐ彼等はどんな顔をして此処に居るのだらう!

 やがて鐘が鳴り・・ボーンと鳴り!

  なによりもこはくてたまらない・・

  目にみえぬ大きなローラーが地ならしをして、
  、、、、、、
  夕陽の下を下る・・虚空に突き出、透かし見るようにして!


    尋胡隠君

 
 水澄ましになろう、ああ水澄まし・・

  あ、鳴つた! (私はその時・・たきぎを拾ひ集めてをり、)

  あゝ、ねむけ醒ましとあらざるを得なゐ照れや羞かみは、

 ついに花を見・・ああ復たこの花を看――、
            こみち
 春の風は江のうゑの径、雉や山鳥ではぴつたりとしなゐ・・

 何と言ゑばよいでさふ、・・

 それを見ない淋しさをあひだにさし挟んで

  もう帰り着いた頃だらうか・・どうだゐ・・?

   あ、鳴つた・・常に変化する時間!経過する時間!・・・

  君と言ふ・・白い雲がゆるやかに流れ、負い目が途切れ。

   忘れてゐる君の生の重さ――で ならぬ・・

   「ひとしきりであらねばならぬ!」・・と にはかに。


    逢呉秀才復送帰江上


 笑つてかぶりを振る渡しの舟

  川のうゑに舟が停まる・・、客は縦に、また気がかりに・・

  さうしてぶざいくな鉄の棒を持つた鬼みたいに、

 
 いま乱れてゐる別れに湧くのは乱れた自分!

  打ちふるゑさせる術・・

  なにを恐れんやといふやうなかなりの勇者になつて


 しばしの時、君と手を握りしめてゐた!

  高く咳ばらひするやうに――分かつ、この匂ひは・・

  キヤツキヤツケタケタ(と、この硝子板に)


 陽をくれさせた雨の南陵・・一滴のこさず飲みほして、

  ほろりと酔ひ、顔をあからめて寺の幸福な鐘の音など

   が・・八方破れに はたはたと!――






 陶 淵明 

  とう えんめい


  365年~427年。中国魏晋南北朝時代、東晋末から 南朝
宋の文学者。郷里の田園に隠遁 後、自ら農作業に従事しつつ、日常生活に即した詩文を多
く残し、後世「隠逸詩人」「田 園詩人」と呼ばれる。



    歸園田居五首


  その一


ぬおっとぴちゃぴちゃする韻、性愛が嬰児のように顔を出すだろう、

されど網の中に落ちる塵がそのその隙間からすり抜ける・・

 まことに三十年が一挙に一年になる!・・その秘密の風景をあしらったろう!

でも親鳥というのは淋しいものだな――まだ解き明かされぬ生のプロセスが、

 まことあの郷愁の森にあるのに、魚は石のぬめる縁にタッチする・・。

荒れ地のあの南の際に・・、園あり、田あり、取水口のあり・・・、

 ブレスレットのようだ・・、

十エーカーの広さをひと息にこめる家、屋根は八十九の葺き、

楡の廂・・ひさし。まるでガーデンホテルを後にぬるい光の正座する、
                       ルオヤン
 ああ!教え子よ!――ここは黄河中流にある洛陽の前・・!

まどろむたびに熱の浮かぶ!はや・・萌えだす遠くの村・・・

 くらむくらむ!・・朝の市、さてどこから煙があがるのやら・・・

巷中をフローリングするように犬が吠える、鳴く・・桑の・・蚕の。

清潔だが・・いましも時の罰を受ける雑多なこの村に、

 ありあまるほどの部屋があり、ゆっくりと立ち上がり、

 ・・壺を吐き出せば、ねじきれた蛇が出てくるようだ溜息とは――。

でもさあ、久しく忘れていたあの村のことを思い出そう、教え子よ、

 鍬の爪にやられて身はあかく灯るように、泥が溶け、うず高く、

 重なりながら、混ざりあいながら・・ふっと垂れ落ちる、そこまでの地図。


  その二

 
水の匂い木立の匂いが身籠っている・・珍しい現場担当者!

 ――聞いてみたか? ・・おお!聞いてみたら如何?

 予測可能だったか、――有界変動・・分解定理

  ・・・悪いね、耳をそばだてている、やわな佇立を続けてる。

白日の扉があるよフェイ、荊棘が細い脚のような蛇となり、

 遠ざかっていたものが近づいてくるような、既に壊れている、この草叢・・

ときどき、明後日がじんわりやってきたような、廃墟に思える・・、

 流れよ、木の顔を尖らせて・・いつしか蔓が這う、心の建物は――

 めくらの雨に濡れるよ、そんな水の鞭があると思う、フェイ・・
あいまみ
相見えながら、言葉はしたたり・・途方もなく、この桑、・・麻の――

 道はシェスタだ!聖画と交流している、ルソーといえるだろうか。・・

見えない物語がありふれた主旋律をつくるが、それでも私の土壌は肥沃になる、
 
 水を撒く農夫のススキのような動きに――

ああ霜や霙よ来い、散るように在ろう!実らぬように稔る瞬間が・・

 ケーブル鋼索の絡まりを告げる、しばしば、・・しばしば――

 うんざりするような、混乱と幻影の時と共に・・・。


  その三


そうだ、飛び跳ねている南の山豆は、夏の盛りの希望とばかりに

 砂糖に埋もれ、・・埋もれながらにして豌豆が・・稀に育つ。

早朝きして・・その奇妙な歓喜の声をあげたまま、焼き切れるだろう、

 不浄な我が瞳は、精神へと架けられたのびゆきなだらかな傾斜だろう!

 そして君は朝のスケジュールを申請する!

  ・・いまやもう肥溜め!の!・・・そこへ――。

道路に木は生えない・・夜の露がわたしの服に触れても根にはなりにくいように、

この泥だらけの服は後悔の色だ、自然が何かの形をとろうとした合図だ、

 ・・染色する、サインする!プラットホームだ!――

 それでもいまは言葉は言葉であると思うために数千の矢よ!

 囁き果てた呪いの言葉に消え入りたい・・許そう!

  ――いまでも考えることができる、ただの曲がったものだとしても。 






 ハインリヒ・ハイネ

  Christian Johann Heinrich Heine


   1797年12月13日~1856年2月17日。ドイツの詩人、作家、ジャーナリスト。文学史的にはロ
  マン派の流れに属するが、政治的動乱の時代を経験したことから批評精神に裏打ちされた風
  刺詩や時事詩も多く発表している。平易な表現によって書かれたハイネの詩は様々な作曲者
  から曲がつけられており、今日なお多くの人に親しまれている。



    どの私が恋に落ちるべき
     In welche soll ich mich verlieben


 どの私が、恋に落ちるべきなんだろう。

 お互いを深く愛するために?

 美しくて穢れがないと思う彼女は、まだ母親で、

 娘は美しい子供・・。


 たとえばプライダル・ヴェールの遠く逃げゆく人・・

 男性なら、はるばると潮の流れる音を耳にして!・・

 しかし――はじめての人のようにも

  思われぬ鮮やかな瞳に、・・経験などなくて、

 あなたを取り巻く優しさが、灰色の友人と言わせる。


 でも二つの心の間に、乾草を敷き詰めたなら、

 あなただって君!・・卵を出してくれるかも――
 
 食欲をそそる至高の料理!・・食べてみたいんだ・・・

 
    あなたの眼をみると
     Wenn ich in deine Augen seh’


   僕は君の目を見ると、

    ・・はかない影、とっくに消え去った夢だけど、

 一日すべてが、僕の痛みや悲しみとなる。
 
 でも、君の唇にちょんとキスをするとさ、

 僕は突然うっちゃらかしたように爽快になる。


   たとえば僕が・・君の胸に頭を預ける時には、

 天国の喜びが、やさしげに浮かびいづる・・

 でも、あなたは言う、「私はあなたを愛してる・・」

    ・・・もしそれが嘘として、時が止まる合図だとしたって、

     ――その切迫さに、きれいに死にたくなる・・

 僕は激しく泣いてみたい・・象牙のように白く浮んでいる、

      ・・・涙を。


    夜は私の心にあった
     Nacht lag auf meinen Augen


   夜は、私の目にあった・・その心の・・・、

 心の名において、・・私の口はcardを呼んでいた。

 厳格な脳からの指令で――美しさを喚び起し、

 私には・・もっと必要なものがあるんじゃないかと。


   どのくらい、そうしていたのか――

 私は眠っているという認識を・・夢の先にして、

 難聴だ、――と まだ意識は混濁する。
 
 私はお墓の前で、心を敲くように歩いてる・・
 
 「ヘンリー、耐えられないでしょう・・」

 
   疲れたから・・もうそろそろ永遠に浴したい・・

 すると、死者は必ず僕の前に現れる――

 「永遠は始まった!」・・語らないで、昔逝った、

 名も知らぬ人・・私の親愛なる存在に――

 私はまだ、眼を、開けることはできない・・


   けれど私は泣いてる・・意識に泛く、火の在り処のように、

 もしかしたらとっくに、――人類は絶滅したのかも・・

 でもそうじゃない・・「私はあなたにキスしたい――ヘンリー」

 終わらない・・まだ、続ける・・・

 「あなたの眼から、――夜の天使がやってくる」

 
   夜の栄光があって・・人類の繁栄がある――

 私の愛は・・こんな風に静止画の、つのぐむ芽・・・

 うぶ声を立てて――この物語は生まれるけれど、
 
 あなたが私の心の映写機じゃないかと思う、

 そして、触れる単語――有音声・・!


   「とても静かだ、・・私の・・ヘンリー・レイ」

 胸にそっとしまうまでに、血の洗礼を受ける・・

 きっと心がつながっているから――こんなに・・こんなに、

 ・・・苦しいよ、でもあなたが私を癒してくれる。

 けれど時々、あなたとのことで、立ち上がるのも嫌になる。


   ふたたびの出血・・もしかしたら本当に――

 血を流しているのかも知れない。内部における事件で・・

 事件を撮影したら、きっとみんなひそんでいたんだ、

 二人との仲を引き裂こうとする悪が攫われる・・

 「私の髪で・・ヘンリー、ヘンリー、その傷も私のものだよ」


   色んなものを選びながら、血流が正常に戻る・・

 健康な意識を生みだす――それはとても甘くて、優しい・・

 恋だろうか不思議な馥りだろうか・・と 尋ねれば、

 私は抵抗しない身体だ――私はただ、あなたのことを想う・・


   そして愛する人のことが気掛かりになって、出掛ける・・

 あのちょっとしたことも、生涯において何か意味があるのかな。

 破壊し尽くせる神なら、凶暴な・・熱が再びまた蘇る・・

 野生の残り香がして――血流はまくしたてる!

 および叫ぶ!・・私は目が醒めて・・・。








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